2009年 11月 05日
ライブの不思議
日仏学院でのコンサートを終えたハイドシェックですが、
パリに無事に戻って来て早速連絡をくれる、そんな心遣いが嬉しいなあと思いつつ。。

さて今回のコンサート。
色々な意見があるようです。
10月30日のブログへのコメントも、大変興味深い意見の対比が見られます。
私の身近でも色々な意見があって、サロンコンサートの難しさを改めて考えさせられる事になりました。


「音響が悪い、ピアノが悪かったので楽しめなかった。ハイドシェックに申し訳ない。」
「細かい所まで良く聞こえて、ハイドシェックの生の良さ(演奏&人間性)を感じられた。感動した。」


こうなると気になるのが演奏者本人の満足度。
簡単に言えばハイドシェック本人は「大満足だった!」の一言に尽きます。
特に問題になっているピアノの状態ですが、本人は「完璧な状態」だったと言います。
時差の疲れ(毎日3時間くらいしか眠れなかったみたいです)で本人のコンディションは万全ではなかったでしょうが。
日本到着が演奏会前日って…すごいハードスケジュール!


何が言いたいのかと言うと、
こういう<演奏側と聴き手のズレ>は結構頻繁に起きる、という不思議を書きたいのです。


ここからは私の少ない経験からの主観になるのですが
例えば、ある時は「今日は落ち着いて弾けたな、満足♪」とかって思っていると
印象薄いって言われたり、最悪なのは「つまらない演奏」って言われる。。
コンクールの場合だと落選したりした事もあります。ちゃんと弾けたのに…って納得行かないケース。
ある時は、めちゃくちゃ緊張して自分の演奏のあちこちが気になって演奏後ガックリ落ち込んで…。
ところが聴き手は「すごい集中力で感動したよ」とか、
絶対に落選って思ったのに意外と結果が良かった…みたいな事が起きることもあります(私はよくある)。
それから、舞台の上でピアノが鳴らなくてすごく苦労して全然本領発揮出来ないケース。
これも、後で聞くと会場の後ろまで音がちゃんと届いてたよ、と言われる。
その逆のケース、舞台で楽器がワンワンと鳴り響き音の洪水に溺れて、相当演奏しにくいと本人は思うのに
会場で聞く方は、スッキリした音だったよ?とか言われると、本当に摩訶不思議としか言えません。
音のミス、暗譜が飛んだ、頭真っ白になった、とかライブではアクシデントが付き物。
とんでもないミスをして、恥ずかしくってあと一生この曲は弾くまいと本人は思っているのに
聴き手はそんな所は聞いてなくて、何でそんなにガッカリしてるの?って言われたり。
緊張しすぎてテンポをぶっ飛ばし、ありとあらゆる大事なパッセージをほとんど失敗し
泣きの涙でやっと終えた自分の演奏を録音してた場合なんて、もう絶対にそれを聴くまい、お蔵入りだ!と思うのですが
時間が経ってある時聴きなおしてみると、自分でも意外なほどそれが良い演奏だった事もあります。


これがライブの面白さであり、難しさ。まさに綱渡りです。毎回驚きに満ちている。
一番幸せなのは、弾き手も満足、聴き手も感動、そして会場と一体感を感じた時。
でもこれだって、主観でしかありません。
会場と一体感があったなぁと思っても、全員がそう感じるわけがないのです。


ピアノと言う楽器は、すぐそばで聴くとなかなかクセのある楽器です。
レガート奏法なんて言ったって、ピアノは一度打鍵したら音が消えていく性質の楽器。
実際は、本物のレガートは声楽や弦楽器などの楽器にはかなわないのです。
それをいかに、マジックをかけて…あらゆる技術を駆使して…可能にしていくか、ここがピアニストの力の見せ所です。
会場の響きに助けられる事も多いです。残響が多ければ、ラクに弾ける場合も多いです。
日仏学院の場合は、私の想像するに音響オプションはなく、生の音そのままで演奏会が進んだのではないかしら。
それを、楽しめた方。がっかりしちゃった方。それぞれの感受性です。
もちろん、お金を払って行ったんだから不満足な演奏会なんて納得いかない、そんな気持ちもよく分かる。
でもそれは演奏者は…ごめんなさいってしか言えません。次回良かったらまた来てねって、そっと言うしかないのです。
ハイドシェックはハードスケジュールでも万全を尽くしたし、演奏メッセージをきちんと伝えた。
会場は選べませんから、それを受け入れピアノの調整も入念にしたに違いありません。
それでも、あのハイドシェックでしても、サロンコンサートは難しい。。。


ハイドシェックは元気でパリに戻ってきました。
11月16日にパリのSalle Gaveauで演奏する事になっています。
休む間もなく…またエネルギッシュな日々を過ごしています。
次の来日、それはまだわかりませんが、毎回の来日を大変楽しみにしているハイドシェック。
今回も満足でパリに戻ってきてくれた、それを私は大事に思いたいなと思っています。
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by moncheminparis | 2009-11-05 13:14 | ハイドシェック au Japon


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