2011年 04月 19日
フランス原発事情
フランスは59基の原子炉があり、電力の80%を原子力エネルギーに頼っています。
私の住むVal de Marne県にも原子炉があります。
Nogent-sur-Marne市、今住んでいる場所から15km内、という立地です。
残念ながら、私も今まで無関心だった1人ですので、原子力についてはあまりよく知りません。
しかし今回の事があり、またフランスも原発大国だという事で、私も少々考えが変わりました。
原発についての自分のスタンスを決めたい、そう思い今少しずつ勉強をしています。

震災以来、原発についてはフランスも多くの意見や番組を見る機会が増えました。
昨夜もドキュメントがありました。
フランスでどんな内容の番組が流れているか、お伝えしようと思います。


Complément d'enquête du lundi 18 avril 2011 à 22h10
4月18日、22時10分から放送されたものです。
フランス語が分かる方もいらっしゃると思うので一応リンクを貼っておきました。
1週間くらいの間は見られるんじゃないかと思います。

99年にボルドーで起きた原発事故について。
99年と言えば私が留学を始めた年ですが、当時フランス語まったく分からずの私には耳に入らなかった事故でした。
強力な台風が上陸し、高波によって原発が浸水。冷却装置が停止した、福島と非常に良く似たケースです。
他の装置が作動したため、大事には至らなかったようですが、この事故、表ざたになったのは起きてから8日後。
高波の可能性を国が1年以上前から懸念し工事をするよう勧告が出ていたのに(書面が残っています)
それを伸ばし伸ばしにし、事故の1ヶ月前の再勧告も無視し、そして事故は起きました。

フランスの原子炉、平均建築年数は25年。
30年をめどに廃炉にする予定で建設されたものも、まだ現役で動いています。
10年ごとに修復と改善を繰り替えし、あらゆる事故にも対応、世界1レベルだと。
出来ればこのまま、どこまで持つか挑戦したい、60年は持たせたいという電力会社のコメント。
日本という安全大国で起きた事故を見ても、まだそんな悠長な事を言っています。

20年前より廃炉になったある原子炉。今もまだ完全廃炉には程遠い現状。
さらにあと15年はかかるとの見立て。
現場を1つ1つ解体していくのです。当然そこには放射能性物質があります。
被爆しないよう慎重に行うため、時間はあってもあっても足りない、と言うのが現実でしょう。

コントロール出来ていれば問題なし、の原発。いやいや、そうではありません。
放射能物質を含んだ廃棄物、の問題があります。あまり多くは語られない事実です。
300年は保管しないと放射能物質はなくならないため、入念に保管されるべきものですが、
どんなに厚く頑丈な50センチの壁でもっても漏れるものは漏れる。(50センチは厚いのでしょうか?)
じゃあ、このくらいならきっと大丈夫だからと法律が改正されてしまう。そんな馬鹿な。
もっと斬新な方法は、地下に埋めてしまう。あらゆるテクノロジーを使っての試みです。
シャンパーニュ地方の小さな村、その地下500メートルほどの深さで現在廃棄物処理場が建設中です。
調べによると16億年前からその土地は動いた痕跡がない、と言うのがその場所の理由。
しかし、お隣のドイツではすでに同じ試みが行われていますが、大地が目覚めてしまったため
そこに埋められた廃棄物を再度別の場所に移動させなけれないけない、という現実が起きています。
自然相手に、16億年動かないから大丈夫、とはまたずいぶん短絡的と言えないでしょうか。

原子力エネルギーからリサイクルエネルギーに段々移行していこう、という話。
今一番注目は、フランスでもあちこちで見かける風力発電。
ポルトガルに工場があるようです。
太陽エネルギーもどうか?という意見もあります。
しかし、風力発電には大きな風車が何台も必要で、町の概観を損ねます。
地元の反対にあって、計画が進まないことも多いようです。
また、建設には莫大な資金がかかります。

一番低コストで安定性に優れたエネルギーが、原子力だ、と言う論理。
これは本当のところ、どうかと言えば、フランスもやはり政治と原子力の癒着が強く
風力や太陽エネルギーが伸びてこないには、黒い理由がある、と主張する政治家もいます。
緑の党(エコロジストの党です)女性党首Cécile Duflotは、
原子力からリサイクルエネルギーへ移行する方法はあるのだ、と言います。
今ある原子炉を30年計画で少しずつ廃炉にしていきながら、上手に切り替えは可能だと。
しかし、現在与党のUMP所属、そして環境大臣のNathalie Kosciusko-Morizetは、
そんな綺麗ごとは残念ながら通用せず、いかに原子力を安全に使うか、それこそが第1の課題なのだと言うのです。

番組の最後は、3月27日にフランスから日本へ飛び立ったある日本人女性について。
フランスに20年以上住み、夫や息子もいる彼女の実家は仙台。
自分の目で現実を見るため、フランスの家族の反対を押し切っての日本帰国です。
(飛行場にいたご主人は「気違い沙汰」だと言っていました)
知りたいのは放射能のことであり、食べ物のことであり、安全について。
事故現場から80㎞地点で、有機野菜農家を経営する家族の協力の下、
そこで採った野菜(しいたけや白菜など)をフランスのCRIIRADでラボ検査した結果
(CRIIRADEとは、政治的影響をまったく受けない独自の放射能専門委員会です)
非常に濃い濃度のヨウ素やセシウムが検出され、食用には適さない、という結果が出ました。


私がこの番組中、ずっと不快感を覚えたのは
「絶対に安全とは言えないはずだ」という問いに、誰一人返事をしないことでした。
完璧にコントロールされていなければ、壊滅的なダメージを生む原子力エネルギー。
それは悪魔に魂を売ったと同じではないか?というジャーナリストの問いに
あらゆる可能性を考慮した上で最大の安全対策を取る、と答えるフランス電力。
ありきたりで、もっともらしい、返事です。
しかし同時に、それには答えられない、答えはない、とも読み取れる偽善の表情を私は見ました。
それが、原子力の現実なのです。

原子力は次の世代に、残していいものでしょうか?
廃棄物1つにしても300年。。あとはよろしくって事ですか?
よろしくと言うなら、私たちには十分な知識が必要でしょう。何をよろしく、なのか。
何も知らされず、だましだましの安全のまま事故が起こってやっと気が付く、では未来を託せません。


まだまだ勉強を続けるつもりです。




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by moncheminparis | 2011-04-19 18:16 | 東日本大地震2011


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