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2007年 06月 15日
6月…思い出すこと。
6月になって、中旬を過ぎるといつも思い出すのは
「あ~この頃、試験大変だったな」という事。

ヨーロッパの学校は9月から新学期で年度末は6月。
この時期、学生たちは進級試験もしくは卒業試験。

そして音楽学生たちは、実技試験です。
こわ~い&えら~い試験官たちの前で一発勝負!
ここに向けて、かなり集中して練習していくのですが
何せこの世界は本番の出来しか評価してもらえない。
寿命が縮みます(笑)

私はいくつかの音楽学校に在籍していましたが
特に印象に残るのは、エコール・ノルマル音楽院スコラ・カントルム音楽院での試験。


エコール・ノルマルにはいくつものレベルが存在していて
レベルごとに試験の方法やプログラム内容が違うのですが
私が一番嫌だったのは、演奏家資格(一般に第6過程と呼ばれています)試験。

何が一番嫌かって、当日舞台に上がるまで何を弾かされるのかわからないところ。
準備する曲目はかなり多く、当然練習時間も相当。
1日中ピアノ漬け…みたいな、はたから見たらかなり異常な事態になります(笑)
で、追い詰められて用意するのですが、当日は全曲弾かせてもらえないのです!

前の人の演奏が終わってしばらくすると…
チリリ~ン♪
と鐘がなっていよいよ出番。
心臓がドキドキしてるのは感じないフリ(笑)
おじぎをして、ピアノの前に座ります。

そこから…審査員のごにょごにょ、ヒソヒソ相談する声が聞こえてきて…。
その待ち時間の空気、会場内の雰囲気、微妙~~~!
そして私は、どうにでもしてくれ~っとまさに、まな板の上の鯉、状態です。

会場内、シ~ン…

まだ、シ~~~~ン…

まだまだ、シ~~~~~~~~~~~~~~~ン…


これが、嫌!
何を弾かされてもOK、を目指して練習はしますが
やっぱり、この曲だったらいいな、とか多分これは弾かされるだろうな、とか
余計な邪念がどうしても、出てきてしまう。
ダメダメ、何も考えない。何が来ても動揺しない…と念仏を唱えてひたすら待つ。

試験よりも、この待ち時間が嫌。
弾き始めてしまえばあとは進んでしまうし。
な~んて。あんまりエラそうなこと言えないな。
緊張しまくって試験後泣きべそかいた事のある私。若かったなぁ。


スコラ・カントルムの試験はこれまた印象的。
これはかなり大事な試験だったので気合も違いましたし、
当時同音楽院でハイドシェッククラスに在籍していた私は、
課題のコンチェルトの伴奏をハイドシェックにしてもらったという
ひじょ~~にスリリングな展開だったので、思い出深いです。

そのコンチェルトは因縁の、ベートーヴェン2番。
それまでに、すでに何度も共演してましたが…

ハイドシェックに伴奏してもらえて、幸せ!
なんてシンプルな世界じゃないです。
だって、おじさんったら、超~~ナーバスなんですもん(笑)

なんで?なんでアナタがナーバスになるの???
今日は私が主役でしょ!!

大体ですね。
試験だと言うのに、ハイドシェックファンが聴きに来てるって…。


本番前、集中したい私と、落ち着きのないハイドシェック。
まるでマンガ!
私、コンチェルトだけじゃなくて他の曲も弾くんだから、静かにしててよ!みたいな…(笑)
落ち着きたいのに、全然私のペースにならない。
もう最後には、側を離れました、はい。

多分、おじさん的には、試験もコンサートも関係ないのでしょうね。
常にベストを目指す、たとえそれが伴奏であっても…
ハイドシェックらしいですが…余裕のない時にはあんまり笑えないエピソードです。

で、結果ですか??

はい。
これが証拠写真。
6月…思い出すこと。_c0086674_12163687.jpg
受賞式です。
ちゃんとめでたく合格しました。
ソロもコンチェルトも、大変にスリリングな演奏が良かったのか?
審査員一致の1位、という非常に嬉しい成績でめでたし、めでたし。



おじさんのお陰ですね!
バタバタしたけど、今ではいい思い出♪
そうそう。
この授賞式の頃、ハイドシェックはトッパンホール公演で日本に行ってました。
最近CDになった、演奏会。2005年6月、でしたね!

by moncheminparis | 2007-06-15 12:33 | 日々のこと… d'habitude


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