2007年 09月 14日
コルトーのマスタークラス
最近はなんでもデジタル化、デジタル化って…もうついて行けないわ!
なんて思ってしまうことも多い日常ですが
そんな技術に今回ばかりは感謝しなければいけません。

実は最近このブログにコメントを下さった方のお陰で
ソニーミュージックから「コルトーのマスタークラス」というCDが出ていると情報を頂き、
そんな貴重な録音が残っているのか~~!と早速、超特急で入手してしまいました。
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♪「ALFRED CORTOT THE MASTER CLASSES」   SICC 226-8



ピアニストのマレイ・ペライアが数年前にコルトーの息子に会った時に、
30時間分ほどコルトーのレッスンを録音・保管している人がいる、と聞き
興味を持ったペライアは早速その録音の持ち主にコンタクトを取ったところから
このCDの構想が始まった、と冒頭の説明に書いてあります。



録音年は1954年から1960年まで。
コルトーが亡くなったのは1962年ですから、最晩年の録音という事になります。
CDジャケットの中には当時のコルトーの写真や
サル・コルトー Salle Cortot (エコール・ノルマル音楽院内のコンサートホール)でのレッスン風景なども載っていて、
私も以前、エコールノルマル音楽院に在籍し、サル・コルトーで演奏した事もあったので
それらの写真を見るだけですでに何とも言えない、感動的な気持ちです。

実は、エコールノルマルで5年間お世話になったヴィクトリア・メルキ先生もハイドシェックと同じく、コルトー門下なのですが
(エリックの事なんて、彼が短パン履いてた時から知ってるわ!だそうで…(^◇^))
レッスンは、昔コルトーがレッスンした部屋で行われたので(!)
出来が悪かった時は「コルトー先生の亡霊がでるわよ」と脅されたりした事もありました(笑)

そんな思い出も頭をよぎりながら、この貴重なCDを繰りかえし聞いています。

コルトーのレッスンについては、ハイドシェックやメルキ先生から時々聞いてはいたのですが
こうして音で実際に聞くと、本当に何とも言えない気持ちになります。
まるですぐそこにコルトーがいるかのようで。。。
コルトーの話すノーブルなフランス語、そして模範演奏の様子。
確かに演奏には傷が多く、ぶったまげるようなミスタッチも多々ありますが
それは、レッスンという状況の中で、リラックスしたコルトーの姿が見えるようで
「正真正銘、本物のコルトー」を感じます。

その音色の説得性、詩的で多彩なこと、そして音から感じるカリスマ性と言うか…。
ピアノの音を、鳴ってしまった後も操作するようなレッスンや
どんなに小さな音でも、対照的に大きな音でも、決して不自然な音を好まないコルトーのコメントを聞くうちに、
ハイドシェックのレッスンとの大きな共通点を沢山見つけました。

特に、ショパン作品のレッスンはもう…想像力を強烈にかき立てられます。
実は前に、ピアニストのジャン・マルク・ルイサダにもショパン作品をレッスンをしてもらった事があるのですが
その時ルイサダは、さかんにコルトーの名前を連発し、録音を聴くように私に勧めました。
そしてルイサダのレッスンの内容もまた、コルトーの影響を多々受けているなと
このCDを聞いて、改めて思い出したりしています。

コルトーは、ピアノ音楽の大きな礎となる偉大なピアニストでしたので
そこから枝分かれして沢山のピアニストが育っているのですが
そのレッスン現場の記録の一部がこうして残っている事は本当に素晴しい。
このCDは多くのピアニストにとって、大きな勇気を与えるものだと思います。



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CDに収められているレッスン曲目
(3枚組みです)

(DISC1)
J.S.バッハ:パルティータ 第1番

モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K.475、 ピアノソナタ第11番、 ピアノソナタ第8番

ベートーヴェン:ピアノソナタ「告別」、ピアノソナタ第27番、 ピアノソナタ第28番

(DISC2)
ベートーヴェン:ピアノソナタ第30番、 ピアノソナタ第31番

シューマン:ピアノソナタ第2番(第2楽章)、 幻想曲(第1楽章)

ショパン:ピアノソナタ第2番「葬送」、 ピアノソナタ第3番

(DISC3)
ショパン:バラード第1番、第2番、第4番、
      スケルツォ第3番
      マズルカ 作品24-1、24-2、24-4、30-1、30-2
      前奏曲集より、第2,4,5,8,15,20番
      ノクターン 作品55-1
      ワルツ 作品18「華麗なる大円舞曲」


             
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by moncheminparis | 2007-09-14 11:22 | ピアノ piano | Comments(8)
Commented by tere-ze at 2007-09-14 17:04 x
コルトーは独特のアゴギグで若い頃にちょっとついていけないと思ったので以来あまり聴いていませんが、列記してくださった曲は全て私の好きな
曲ばかりで。
ん?これは聴いてみないと!と思いました。
ルイサダのレッスンも受けられたのですか、彼のマズルカは天下一品!
と認識しています。
Commented by chachat at 2007-09-14 20:04 x
★テレーゼさん(…ですよね?)
このCDは私の宝物の1枚になりそうです。
コルトーのレッスンをこんな風に聴く事が出来るなんて。
この記録を保存していた方に感謝★

ルイサダのレッスンは、とても記憶に残っています。
ショパンを極めた人のショパンのレッスンは、まさに本物。
どこまでも厳しく、緻密なレッスンで、色々な貴重なトリックを沢山教えてもらいました。
ルイサダのキッラッキラの輝く目を忘れることができません。
またルイサダの演奏を聞きたいなぁ。
Commented by のぶりん at 2007-09-15 00:44 x
アルフレッド・コルトーは偉大なピアニストです。
アルフレッド・コルトーを「偉大なピアニスト」と呼べない人の耳を僕は疑いますね。少なくとも第1次世界大戦後の楽壇において、ショパンとシューマンのピアノ演奏を語る際にコルトーを抜かすことはできません。20世紀のクラシックの方向を決定付けたという意味でもコルトーは巨人ですよね。だいたいカザルス・トリオのピアニストですし、ショパンの弟子・ドゥコンブの直弟子ですし、エコール・ノルマルを創立したのも、『ニーベルングの指環』のフランス初演をしたのも確かコルトーじゃなかったでしょうか。

アルフレッド・コルトーは偉大な音楽家です。天才エリック・ハイドシェックを聴けば一発でわかります。ハイドシェックという弟子を生んだというだけでも後世に語られるべき価値のあるピアニストだと思います。コルトーを語らずして現代のクラシック音楽を語ることはできない偉大なピアニストであると信じます。コルトーの良さがわからない人は、音楽の良さがわからない人です。あえて断言します。
Commented by magnet at 2007-09-15 01:05 x
<chachat様>
こんばんは♪
よくよく考えるとchachatさんはコルトーの孫弟子になるのですね。(←考えなくても当たり前ですが・・・笑)
コルトーはショパン、シューマン、ドビュッシーの古い録音をたまに聴いています。
その中ではショパンのワルツ集が聴き始めると楽しくなってきて最後まで聴きとおしてしまうほど好きな演奏です。
ワルツ集の盤では他にリパッティやルイサダ(もしかしたらこれが一番好きかも)もよく聴いています。
ルイサダ盤はルイサダ自身が解説を書いているのですが、さすがに鋭い洞察力で、読みながらことごとく納得してしまいました。

実は、私も「ALFRED CORTOT THE MASTER CLASSES」を入手しました。
特に1、2枚目は断片的だとは思いますが今までに録音がなかった曲ばかりなのでこれから聴くのが楽しみです。
あと、フランスのTAHRAからコルトーの「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番」のCDも出ていました。
こちらも入手したので楽しみです。
Commented by chachat at 2007-09-15 16:12 x
★のぶりんさん
コルトーの門下は本当に沢山いますね。
そして、そのどのピアニストも個性的である面も素晴しいと思います。
個性を伸ばす教育だったのだと、育ったピアニストの面々でわかります。
短命だったリパッティなどもそうですね。
リパッティの演奏も、私はとても好きです。

のぶりんさんの仰るとおり、コルトー抜きでは現代のクラシック音楽界は語れませんね。
Commented by chachat at 2007-09-15 16:20 x
★magnetさん
「はい。孫弟子です。」そう公言出来る位、成長したいです。
コルトーの音や演奏には、本当に品格があって…
フランスの誇る、偉大な偉大なピアニストです。

ルイサダもお好きなのですね。
彼は演奏もさることながら、その性格もと~っても魅力的。
楽しく、危なっかしく(笑)…とってもアーティストな人です!
ルイサダのショパンは本当にいいですよね。
彼がショパンコンクールで入賞した時、私はまだほんの子供でしたが
あの個性的な演奏スタイルと、男性なのに、しかも若いのにどこかおばさんみたいな(笑)外見を強烈に覚えています。
Commented by magnet at 2007-09-20 21:37 x
<chachat様>
こんばんは♪
「音楽の友10月号」にハイドシェックがコルトーについて語った記事が掲載されていました。
僅かなスペースの短い記事ですが、コルトーに教わったことがハイドシェックの演奏の礎になっていることがよくわかります。
コルトーってやっぱり素晴らしい教師なんだと改めて思いました。
Commented by chachat at 2007-09-21 08:33 x
★magnetさん
情報ありがとうございました♪
実は明日からパリなので、その記事はすぐには見られません…(>_<)残念!
また日本に戻ってきた時にでも、バックナンバーで読もうかな。。


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