2007年 11月 05日
私は子供の時からそんなに丈夫な方ではなかったのですが 風邪をひくと、他の人との体力の差が歴然。 大抵、軽い風邪では終わらず扁桃腺が腫れたり気管支炎になったりします(>_<) でも今回は、喉の入り口咽頭炎で終わるかも…という自分的には結構「やった!」という感じ(笑) 本当はやりたい事が沢山あるのですが、今日はまだ大人しくしていることにしました。 ってなわけで… IBACH…??初めて聞くメーカー。 今日はトゥールーズの写真でまだアップしていなかったものをアップ。 トゥールーズですっかりお世話になったエリザベスの家にあったピアノ。 彼女は趣味で時々ピアノを弾くために、古いグランドピアノを持っています。 コンクールのために滞在した私たちにとっては彼女の家で練習できる、というかなり恵まれた環境だったわけで。 (かなり古い楽器だったので内部のアクションなんかはちょっと…という状態でしたが) このIBACHというメーカー。 エリザベスは「イバック」と発音していました(もちろん仏語読みです)。 英語読みだと「イーバッハ」? なんか、アットマークなんとか、みたいな感じですね(笑) このピアノの価値とか、全く分からない私なのですが ちょっと変わった細工がしてあり、へええ…と思ったので写真に撮りました。 ピアノの鍵盤の下にハンドルのようなものが見えますか? (ピンボケで見えにくいのですが) 実はこのピアノ、移調が簡単に出来るピアノ、なのです。 (移調=オリジナルの調から違う調へ移す事、例えばハ長調の曲をヘ長調に書き換えて演奏するとか) 正確に言えばこのピアノはハンドルをぐるっと回すと、鍵盤全体が半音分ずれるのです。 へ?それでなんで移調が出来るの?サッパリだわ? という方のために。 (そんなん、もう知ってるわ~という方もちょっとお付き合いを) 簡単に説明すると、 ピアノと言う楽器は、鍵盤で音が鳴っているわけではなくて その奥にある弦を下からハンマーでたたく事で音が鳴る仕組み。 ハンマーとは鍵盤と直結した、ピアノの音色を作る一番大事な部分。 鍵盤を押すと、「てこの原理」で鍵盤の向こう側でハンマーがすばやく跳ね上がり、弦を叩くことで音が鳴ります。 一般的な現代のピアノは、1つの鍵盤に対して3本弦が張ってあります。 「ド」の鍵盤を押すと、3本の弦が「ド♪」と発音します。 で、先ほどの「IBACHピアノ」に話を戻すのですが ハンドルを使って鍵盤を横にずらすと、どういう効果が生まれるかと言うと、 例えば「ド」のキーを押しているのに「ド#」と鳴る。 つまり、半音分移調していることと同じになるのです。 見にくいのでもうちょっとズーム。 ↓ あぁ、なつかしの「ドレミ」ドイツ語表記。 gis(ソ#) a(ラ) b(シ♭) h(シ) c(ド) cis(ド#) d(レ) dis(レ#) このプレートは、鍵盤の位置が変わっても混乱しないようにしてあるのだと思います。 …とここまで書いて、疲れてきました。 なんて、ややこしいピアノなんでしょう(笑)! だいたいこんな仕組み、なんの役に立つの? ええと、私はあまりこのピアノを便利と思わないのですが 伴奏の仕事を主にしている方などには一応「へぇ…」位は思ってもらえるでしょうか。 何故なら、このしくみは歌の伴奏などをする時などに使えるかもしれないからです。 歌の伴奏をしていると、オリジナルの調じゃなくてそこから1音分上げた調でお願いね、とか 音程が高すぎるから半音下げて弾いて欲しい、などの注文が結構あって 「う…移調…」と結構めんどくさいし、合わせの当日になって言われたりすると 伴奏専門のピアニスト以外は「もっと早く言ってくれ」状態になる人も多いのですが そんな時の救世主がこの「移調システム」かもしれません。 でも。。。 実は私、試してみたんですが…。 「ド♪」って鳴るはずの鍵盤が違う音っていう、奇妙なズレの感覚が全くダメでした。 視覚的に完全に混乱。 目隠しして弾いたらちょっとましでした。 演奏する時って、やっぱり視覚もかなり駆使しているんだなと実感。 長年「この鍵盤はこの音」と絶対音感を叩き込まれている私には、このピアノは気持ちの悪いものでした~。 ワタシの結論。 「移調するなら、自分で苦労して楽譜を書き換えたほうがいい♪」 何はともあれ、いろんな事を考えてピアノを作るヒトがいるんだなぁと思ったことだけは確かです。 ピアノの音色そのものに執着して、改良を加えるのもあり、 このIBACHのように、メカニックに手を加えてピアノの操作性を変えてしまうのもあり。 あ、ピアノの色を変えちゃうこんな方もいますね♪(修理などもやっていらっしゃいます) お元気ですか~~~。 *plus de photos....おまけ* トゥールーズ市役所内。 コンクール参加者としてカクテルパーティーに招待を受けた時の写真。 気軽に行ってビックリぶったまげ。 ここは宮殿か?というくらい、豪華。。 圧巻。 すごいです。。。
by moncheminparis
| 2007-11-05 19:56
| ピアノ piano
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........................ *profile* 愛知県立芸術大学器楽科卒業後、渡仏。エコール・ノルマル音楽院入学。演奏ディプロム取得。その後スコラ・カントルム音楽院入学。同音楽院コンサートディプロムを審査員満場一致の一等賞で取得。サン・ノム・ラ・ブルテッシュ国際ピアノコンクール「フランツ・リスト賞」、U.F.A.Mコンクール室内楽部門第2位受賞。1998年以降エリック・ハイドシェック氏指導の下研鑽を積み、ソロ、室内楽、伴奏等で幅広く活躍、また後進の指導も力を入れ、2010年よりパリ郊外のコンセルヴァトワールにて教鞭を取る。 「ピアニスト鈴木晴美の部屋」 Comment elle joue? *** 音源UPしました♪ ................... *インタビュー掲載サイト* 音楽留学サイト And Vision (2007年1月) 最初はみんなゼロだった 前編&後半 (2008年12月) ................... *リンク Liens * ハイドシェック公認日本語サイト 「エリック・ハイドシェック通信」 ハイドシェック公式HP(仏語) Bienvenue sur le site officiel du pianiste Eric Heidsieck コンサートイマジンHP concert imagine 以前の記事
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